『ファミコン探偵俱楽部 笑み男』の畳み方について二次創作してみた

注意: この記事は『ファミコン探偵俱楽部 笑み男』のネタバレを含みます。 また、本記事の読者はゲームをエンディングまで見た方を想定して書いています。 最後までプレイしていない方には 何の話なのかさっぱり分からないと思います。ご了承ください。

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愚痴 (読まなくてもいい)

ファミコン探偵俱楽部の新作が出た。 前作は1989年、平成元年だ。 下手したら、作っていた人が全員 鬼籍に入っていてもおかしくない歳月が経っているが、 メインでシナリオを担当した坂本賀勇氏はまだ任天堂で現役。 当時のゲーム業界がいかに若いものだったかが分かる。

二作目の『うしろに立つ少女』は私の大好きな作品である。 「好きなミステリー作品は何ですか?」なんていう質問をされようもんなら、 宮部みゆきやアーサー・コナン・ドイルなんかを差し置いて、 ファミコン探偵俱楽部と答えるくらいには好きだ。

任天堂が「笑み男」とだけ書かれた謎のサイトを出した後、 それがファミコン探偵俱楽部の新作だと分かった時の喜びは 半端ではなかった。すぐに買った。

キャラクターの塗りがあまりにもアニメっぽいこと、 各キャラの立ち絵に妙なアニメーション差分があって気が散ること、 キャラクターの声があまり合っていないと感じたこと、 カットインが超絶ダサいことなどいくつか気になる点はあったが、 "今"のゲームの演出を古い人間が どうこう言うべきではないと思い、目をつぶった。 実際、それ以外のシナリオ部分は楽しんでプレイしていた。 (ちなみに、謎のアニメーション差分の理由は、衝撃のラストで明らかになる)

本当に楽しんでプレイしていたのである。 …話を畳む直前までは。

このゲームは、唐突に終わる。

英介を殺した犯人は誰だったのか、 久瀬兄妹の身に何があったのか、 18年前の連続殺人事件の犯人は誰だったのか、 30年前に山陰地方で起きた出来事は何だったのか。

なにか繋がりそうな証言はありながら、 全く全体像が見えていないタイミングで、 急に主人公が真犯人のアジトの場所をつきとめ、突入する。 なぜか久瀬刑事が居て(本当に唐突に居る)、 実が久瀬刑事に襲い掛かって、誠によって助けられる。 (何故この二人がここに居るのか、この時点ではよく分からない) その後、画面が暗転したと思ったら、 「実は英介は自殺だった」 「死体を見つけた久瀬が他殺に偽装工作をした」 などと、主人公がペラペラと事件の真相を語りだす。 漫画だったら打ち切りエンドのような唐突さだ。

どの媒体の推理ものでも、一番楽しいのは 決定的な証言や証拠品が出てきたときに、 自分の頭で真実に行きつく瞬間だと思う。 その瞬間を味わうことなく、淡々と正解を教えられてしまう。 正式なシナリオを読んでいるのに、 ネットでネタバレを食らったような気分だ。

それだけでも驚きなのだが、 さらに空木が追い打ちをかけてくる。 大人パワーを使って、 実の少年院時代を知る人間などに どんどん証言を聞いていくのだ。 主人公の捜査ではどうにもたどり着けなかった事実が いとも簡単に明らかになっていく。 これが出来るなら、 主人公が似顔絵を使って聞き込みをしていた、 あの時間を返してほしい。

極めつけに、 数十分つづく謎のアニメパートが始まる。 あぁ、立ち絵の謎アニメーション差分は、 ここで使うものを流用していたんだなと気づく。 18年前に起きた連続殺人事件の真相が、 犯人「実」視点のアニメとして描かれる。 もはや、探偵の調査結果ですらない。 これが出来るなら、 主人公が昔の新聞記事から頑張って情報収集していた あの時間を返してほしい。

スタッフロール見たら ちょっとした映画くらいの人数がかかわっている。 『うしろに立つ少女』のオリジナルスタッフは20人ほどで 名作に仕上げていた。 人数が増えれば増えるほど、 クリエイティブなものを創り上げるのが大変になるのは、 ゲームを作ったことのない私でも想像がつく。 全体的なちぐはぐさが、この開発人数にも 現れているような気がした。

途中までは『うしろに立つ少女』に並ぶくらいの面白さを感じたこともあって、 とても残念だった。

本題

ここまで前置きである。

前置きは200文字くらいで終わらせようと思っていたのだが、 書いたる内にイライラしてきて長くなってしまった。

ここからようやく本編である。

私はアニメパートを見ながら思ったのである。 これ、ちゃんと畳めば絶対に面白いと。 もし私がこのゲームのシナリオ担当だったら どう畳むのかを考えてみた。

もちろん、現実には開発期間は無限にはない。 しかし、あの終わり方はあまりにも打ち切りエンド過ぎる。 せめて、もう少しプレーヤーに推理する余地を与えるのであれば、 こういった展開もあったのではと、二次創作してみているのである。

なお、この文章は発売されてから3日目に書いており、 もしかすると、私の見つけられていないルートがあるのかもしれない。 だが、わざわざそれを探しに、このゲームをもう1周するつもりもない。

もし、以下に書いたもので、 ルートによってはストーリー進行中に明示されるものが あれば追記しようと思う。

では、私がディレクターだったら、 どういったプロットを引いたか、 今のシナリオから何を変えるかについて、 ここから、順番に書いていく。

英介が自殺であることを主人公に気づかせる

英介が自殺している可能性は、 幼馴染の滝口によって示唆されている。

  • 英介は殺されるような人間ではないこと
  • 英介は進路について、内心悩んでいたこと
  • 本当に他殺だったのか、滝口は疑問に思っていること

これを元にプレーヤーは「英介は自殺だ」と 気づかないといけないのだが、 正直厳しいと思う。 「自殺でした」と言われたとき、 その事実を補強する証言にはなり得るが、 逆に自殺と断定するだけの証言ではない。

そこで、こんな展開を考えてみた。

  • あゆみがネクタイを受け取りに中学校へ行く場面で、滝口が入ってくる
  • 滝口「あの時の探偵さんの同僚の方ですよね。あの時、言えなかったことがあったんです」
  • こんな話を聞かされる
    • 英介は自殺する直前に滝口に電話していた
    • その内容は「いままで本当にありがとう。さようなら」のような、明らかに死を連想させるもの
    • 操作を撹乱させたくないから言わなかったが、僕は英介は自殺だと思う

この証言によって英介は自殺を考えていた 可能性が高いと推理ができる。

夜の推理パートで主人公にこのことを報告する。

  • 主人公「つまり、英介くんはポンプ場に自殺しようとして自ら移動した」
  • あゆみ「もしかすると、自殺前にポンプ場で泣いていた英介くんは‥」
  • 主人公「そこで笑み男に襲われた可能性が高い」

これによって、他殺の線は変わらないが、 英介がどうやってポンプ場に移動したのかが シナリオの中で明文化される。

さらに推理は続く

  • あゆみ「待って、英介くんはどうやって死のうとしていたのかしら」
  • 主人公「飛び降りとか?」
  • あゆみ「現場はポンプ場でダムじゃないわ。飛び降りられるような高所はないはずよ」
  • 主人公「じゃあ、首つりとか」
  • あゆみ「何を使って?」
  • 主人公「現場で調達するとは考えづらい。となると、制服のネクタイの可能性が高い」
  • あゆみ「そういえば、英介くんの死因って、紐状のもので首を絞められたことだったわね」
  • 主人公「ということは、凶器はネクタイ?」

これによって、現場から見つかっていない ネクタイが重要な証拠であると、 プレーヤーに印象付ける。

ここまで言えば、勘のいいひとは 「そういえば、学校関係者でもないのに、 ネクタイを持っていたのは…」と、 かなり正解に近い推理ができる筈である。

そもそも、一日目の現場検証で、 「制服を着て死んでいたこと」と、 「ネクタイが見つかっていないこと」は、 明らかにしてよかったと思う。

少なくとも、あの服が制服であることは もっと強調すべきだと思う。 作画の問題もあると思うが、 英介が着ていたのは私服だと 結構終盤まで私は思っていたので。

30年前の伝承を主人公が自力でたどり着く

山陰地方の伝承は基本的に空木が調べている。 主人公たちが行きついたのは、 「笑顔の紙袋についての伝承が山陰地方であったこと」 を福山から聞いたところまでだ。

しかし、本当に山陰地方に行く必要はあったのだろうか。 これによって、これによって、話の大部分がダイジェストのように なってしまったことは否めない。

そこで、こんな展開を考えてみた。

2パターンある。

A: あゆみが伝承を聞くパターン

  • 福山先輩から山陰地方の親戚が紙袋の話を知っていると聞いた喫茶店のシーン
  • あゆみが親戚から直接話をききたいとお願いをする
  • その話を知っていて、かつ近くに住んでいる人に連絡を取ってもらい、話を聞く

あゆみの頼みとあれば、福山はどうにかして連絡を取るだろう。 そこで、福山がさも恋人を紹介するようなふるまいをするが、 相変わらずあゆみは淡白な対応をするなど、 色々と面白い展開も考えられる

B: 主人公が伝承を聞くパターン

  • 神原刑事と「スナック 笑子」へ行くシーン
  • スナックに山陰地方出身の客が来る
  • 主人公たちが話している内容を聞いて「その話なら知ってるぞ」と会話に入ってくる

どちらも面白くなりそうだが、今回はBでプロットを書いてみる

  • ママ、神原、主人公の3人で話をしていると、酔っぱらった男が来店してくる
  • ママはその男の相手をしに、向こうへ行ってしまう
  • その間に神原と主人公はママへの作戦会議をする
    • 元々は神原がオツマミを注文し、その隙に作戦会議をしている箇所
  • そのあと色々あり、ママから詳しい話を聞ける
  • スナックのママは10代の頃に「笑み男」にあったことがあると言われる
  • 主人公がメモ帳を渡して「どんな顔だったか覚えていますか?」と書いてもらう
  • 報道規制がかかっているので、本物の顔は笑み男に会った人しか知らない
  • 英介の死体に被せてあったものと同じ顔をママは書く
  • 酔っぱらって寝ていた横の客が目を覚まし、そのメモを見る
  • 客「あらー、それ『ミノルさん』の紙袋じゃねえか」
  • 主人公「知っているんですか?(『笑み男』じゃない…?)」
  • 客「あぁ、俺の田舎で30年前にあった有名な事件だ」

こういった導入で、空木が調べてきたことと同じような内容を 男から聞かされる。 これにより、この事実を知ったうえで主人公たちが”推理”をできる。

さらに、元の伝承のタイトルを「ミノルさん」にした。 これで、後に登場する都築実との関係を主人子やプレーヤーに示すことが出来る。

実際、本編に出てくる情報だけでは、 紙袋の男と都築実を結びつける、 確固たる証拠は何も出てこないのである。

さらに、会話を続ける。

  • 主人公「この紙袋の男は現代では『笑み男』という名前で都市伝説になっているんですよ」 (笑み男の話を説明)
  • 客「ミノルさんはそんな悪い奴じゃねえよ。親父さんのことはあれだが、元来、人を殺すような男じゃねえ」
  • 客「そういえば」
  • 客「死んじゃった妹の名前は『エミコ』って聞いたな」
  • 主人公「!?」

このあと、一日の終わりの推理パートで

  • あゆみ「ミノルさんって誰なのかしら?」
  • 主人公「今わかっている関係者の中に、下の名前がミノルという人物は居ないね」

という会話をする。

数日後、主人公は鎌田警部に呼び出され、行方不明になっている男の調査を依頼される。 その男の名前は「都築実」と聞かされる。 この瞬間、ミノルさんの話と何か関係があるのではと、主人公が気づく。

推理パートでこんな感じでまとめられると、 プレーヤーにも明示的に関係を提示できる

  • あゆみ「今日、捜査線上にミノルという人物が出てきた」
  • 主人公「それが都築実だ」
  • あゆみ「18年前に起きた連続殺人事件の容疑者。最初の事件の直後に失踪して以来消息不明の男。」
  • 主人公「都築は30年前に最愛の妹を亡くしている。そして、その妹との思い出の品が笑顔の紙袋だ。」
  • あゆみ「18年前に起きた連続殺人事件の被害者たちは、みな笑顔の紙袋を被せられていた」
  • あゆみ「事件に無関係ではなさそうね」
  • 主人公「そして、今回の英介くんの顔にも同じ紙袋が使われている」
  • あゆみ「つまり、今回の事件も都築が関わっている?」
  • 主人公「それは早計だ。でも、この事件は30年前から続いているのは確かだ。」

また、30年前の山陰地方の話が派生して、 どうやって『笑み男』の都市伝説になっていったのかが、 本編では明示されていない。

例えば、3日目に出てきたオカルト研究家が

  • 彼は、元々山陰地方の紙袋の話を知っていた
  • 最近起きていた連続殺人事件で「被害者は紙袋を被せられていた」という話を仕入れた
  • その2つを使って、紙袋を被った殺人鬼『笑み男』の話を創作した
  • 彼はラジオや講演会でそれを話すと当時の若者に大うけだった
  • 次第に、話が口伝えで話が広がっていった。 のようなものをどこかで聞けるといい。

スナックで、オカルト研究科と偶然鉢合わせて話を聞く、などできるといい。 あまりにも、都合がよすぎるか?

久瀬刑事の犯行を明らかにする

一連の事件の発端は、 久瀬刑事が自殺を他殺に偽装工作したことだ。 しかし、その事実は、ゲーム終了段階での証拠から推理するのは困難で、 最後の事件ダイジェストで急に種明かしを食らう形になる。 (当たり前のように何度も言ってきたが、そもそも、 ゲーム終了段階で証拠が全くそろってないミステリーってなんだ?)

ネクタイによる嫌疑のシーンはあるものの、 それが具体的にどうつながるのかまでは、 あの段階でプレーヤーに推理させるのは 困難に思える。 ちゃんと久瀬と対立・直接の自供をさせるのが一番であろう。

そこで、こんな展開を考えてみた。

  • 神原刑事とスナックで会った後、刑事の車で送ってもらう
  • 途中、刑事が「明日の朝食を買いたい」とお店の前で車を停める
    • 本来は久瀬刑事から電話がかかってくる場面。この展開ではかかってこない
  • 主人公は車の中で待つ
  • ダッシュボードがちゃんと閉まっていないことに気づく
  • よく見ると、小さな箱が引っ掛かっている
  • 箱を取り出そうとすると、手が滑って中身を落としてしまう
  • 封筒とネクタイが入っている
  • 封筒の中身を開けようとすると神原刑事が帰ってくるので、慌てて仕舞う

せっかくなので、ミスリードを入れてみた。 主人公およびプレーヤーには「神原刑事が犯人では?」と 思わせるようなシナリオだ。

この後は、あゆみと事務所で会って、ネクタイのことを話す。 そして、あゆみがネクタイの柄に気が付いて、 福山のところへネクタイを取りに行くという流れに合流する。

伏線として、4日目や5日目あたりで、 「車は久瀬刑事と共有」という情報を入れておくと良い。

その後、主人公は本来と真逆の行動に出る。 久瀬刑事に神原刑事のことを告発するのだ。

  • 久瀬刑事と話をしたいと申し出ると、警察署の一室に通される
  • その部屋の中で、先日見たネクタイと封筒の話をする
    • 久瀬刑事から、少なくとも押収品ではないと言われる
  • 事件現場にあったバイクは神原刑事のものではないかという推理を話す
  • 久瀬「君は神原くんが犯人だと言いたいのか?」
  • 久瀬「神原くんと英介くんの間には何の接点もない。」
  • 久瀬「つまり、神原君には被害者を殺す動機がないんだ」
  • 久瀬「それともなんだい?神原くんが笑み男の正体だとでも、君は考えているのかね?」
  • 主人公「犯人ではなくとも、事件に関与している可能性が高い。本人に話を聞いてみるべきです」
  • そのような問答をしていると、ドアの向こうから「ガタッ」という音が聞こえる
  • 主人公が慌ててドアを開けると、走り去っていく神原刑事の姿が見える
  • 主人公「まずい、証拠を隠滅するつもりだ!」
  • 久瀬「私は神原くんを追う。君も来たまえ」
  • 神原は車で走っていく。それを久瀬のバイクで二人で追う。

状況証拠的に犯人が絞れるが、動機が分からないというのは、ミスリードでよくあるパターンだ。 そのような状況になったら、他に同じ条件の人物が居ないかをよく探したほうがいい。 『うしろに立つ少女』の浦部校長もこのパターンで、多くの人がきっと騙されただろう。 この展開では、神原刑事の怪しい行動に気を取られ、 実は久瀬も同等に怪しいことに、多くの人が気が付かないはずだ。

  • 神原の車が事件現場で停まっているのを発見する
  • 死体発見現場に走っていく神原刑事を見つける。その手には例のネクタイがあった
  • 主人公「神原刑事、そこまでです!」
  • しかし、現場には神原刑事はいない
  • 例の箱だけが道中に落ちている
  • 箱の中の封筒を読む
  • 中身は英介の遺書だった。彼はやはり自殺をしに、ここまで来たのだ
  • こめかみに冷たいものが当たるのに気づく。久瀬刑事がピストルをつきつけている
  • 久瀬「君にはここで死んでもらう」
  • その瞬間、主人公の頭の中で様々なものがつながる
    • 久瀬刑事と神原刑事は車を共有していること
    • 久瀬刑事もバイクに乗っていること
  • そのあと、なんやかんやあって久瀬刑事を捕まえる
  • 本人から話を聞く
    • 兄が失踪した日に何があったのか
    • あの紙袋はどうやって入手したのか
    • 久瀬「英介くんの死体を見たとき思ったの。この死体に紙袋を被せれば、兄の事件をもう一度捜査してもらえるんじゃないかって」
  • ミステリーに慣れている人はここで「都築実の部屋が血まみれだったのは、自分で自分の顔を切ったから」と気づけるが、ここで入ってくる情報が多すぎて、普通の人は見逃すと思う
    • この種明かしは別の場所でちゃんとやる必要がある

この展開には大きな問題がある。 久瀬の悲願であった、笑み男の逮捕および誠の発見に至らないのである。

ここで久瀬が逮捕されてはいけない。 そこで、もう一捻り入れる必要がある。

余談だが、 この時点で久瀬は都築が犯人だと 気づいていることになっているが、 主人公視点だと、 そのことが全く明らかにされていない。 ミステリーとしては品がよくない。 むしろ、都築のことを知らない方が自然まである。

笑み男の捜索

笑み男の話を聞いたとき、 絶対にあゆみと主人公が喧嘩して あゆみが泣いている時に笑み男が現れると思った。 きっと、多くの人がそう思ったに違いない

そんなシーンは、逆に王道過ぎて実際のシナリオでは起きなかったのだが。

そういうシーンを入れつつ、先ほどの 久瀬刑事の問題も同時に解決するような展開を考えた。

  • 主人公が久瀬刑事を訪ねる同日、あゆみは学校へ行っていた
  • 福山、めぐみ、滝口の3人で事件現場へ花を手向けに行くというので、それに同行するためだ
  • 福山の運転で事件現場に付くと、警察車両とオートバイが停まっていることに気づく
  • そのまま事件現場の方へ行くと、主人公が久瀬刑事に銃を向けられていた
  • 福山が無我夢中でタックルし、久瀬から拳銃を取り上げる
  • そして、さっきの話に戻る
  • 遺書の話、久瀬の過去の話、他殺への工作の話
  • 全部の話を聞き終わったとき、めぐみが居なくなっていることに気づく
  • 英介の自殺の原因に自分も含まれていることが分かり、耐えられなくなったに違いない
  • 慌ててめぐみの居場所を探す主人公たち
  • ちょうど走り去っていくバスの席に、泣いているめぐみの姿を見つける

これによって、少なくとも「めぐみを探す」という大義名分ができるので、 すぐさま久瀬を警察に連れて行こうという話にはならない。 久瀬も一緒になってめぐみを探すことになる。

  • 各々の車でバスの終点である駅前に来る
  • あゆみ「一人で泣いていると、笑み男に襲われるかもしれないわ」
  • 急いで聞き込みを始める

町が異様な様子になっていることに気づく

  • 町は笑み男ブームになっている
    • 小学生たちはオリジナルの笑い顔が書かれた紙袋をしている
    • 商店には笑顔の紙袋が表紙に書かれた雑誌が並ぶ
    • 駅前のビジョンではオカルト特集と称し、笑顔の紙袋がデカデカと表示される
    • 店の呼び込みの人も便乗して、紙袋を被っている
  • どの紙袋も各々が考えた偽物の笑み男だ
  • 主人公「この中のどこかに、本物の笑み男が…?」

実際のゲーム中でも、 小学生たちが笑み男の真似している描写はあったが、 あれがもっと町中に溢れたら、しかもその中に本物が居たら、 さぞ不気味だろう。

  • 夕方、主人公が学校前で”本物”の笑み男をみつける
  • その正面には泣いているめぐみが居た
  • 主人公が笑み男に飛び掛かるよりさきに、久瀬刑事が笑み男の前に立ちはだかる
  • 久瀬刑事と笑み男がもみ合いになる
  • 紙袋が外れる
  • 両口が大きく切り裂かれた顔が夕日に照らされる
  • 悲鳴を上げるめぐみ
  • 車で逃走する都築
  • 久瀬は神原に携帯で一言連絡を入れ、バイクで追う。主人公も後ろに乗る

これで、12章のアジト突入シーンと合流できる。 ここで連絡をすることで、アジトで神原が現れることの不自然さも、 緩和されるだろう。

この状態で最終章を迎えることによって

  • 英介の死の謎
  • 久瀬兄妹に何があったのか
  • 18年前の事件の犯人
  • 笑み男の起源 が明らかになった状態で、ラストシーンに臨むことが出来る。

おわり

あー、疲れた。 頭の中で考えるのは楽しいけど、 実際に文章に起こすと疲れるね。

これを清書すると、元の話よりプラス2章分くらいの シナリオが足されることになるだろう。

その代わり、空木によるダイジェストシーンが 大幅に減らせるので、 全体シナリオ量としては「やや増え」くらいで 済むかもしれない。

これでも、誠が実と名乗って活動していることについては、 何も主人公たちは行きついていない。 まだまだ伏線を足す必要があるのだ。

ミステリーを作ることの大変さが分かる。

元より設定が素晴らしいゲームなので、 二次創作でどう改変するかは無限に考えられそうだ。

例えば、事件現場で久瀬刑事の自白を聞いた後、 主人公「もう隠していることはないですね?」 久瀬「実は、犯人のアジトらしき場所はつきとめてあるんだ」 という話になり、 めぐみを探す展開より先に、山奥のアジトに行く。 都築はこの時不在だが、 手記を見つける。 エンディングあとのダイジェストで流れる手記だが、 これを読むと、18年前の事件の全貌が(だいたい)わかる。

これを事前に読んでおくことで、 後に中学校前で都築の顔を見たとき、 主人公「あぁ、永遠の笑顔を手に入れようとして、顔を切ったときに部屋が血まみれになったんだ」 と、手記の意味不明な文章、消息を絶った時の謎が 一気に解ける気持ちよさを味わうことが出来る。

これはほんの一例で、まだまだ幾らでも書ける。 本当に、幾らでも書ける。 だが、そろそろこの記事を終えようと思う。

最後に、こんな素晴らしい設定と伏線張りをした ライターさんに最大限の敬意を。

そして、ラストの打ち切りみたいな 謎解きパートと、 意味不明なアニメにOKを出した 責任者共に(以下略