与えるメディアと吸い取るメディア
在宅ワークになって自由に使える時間が増えた。 結果として、そういった時間は全部インターネットに行った。 YouTubeを見る時間が圧倒的に増えた。 Twitterを見る時間もとんでもなく増えた。
見ている時は面白いのである。 脳は無意識にそれを求めているのか 気が付くとスマートフォンに手が伸びている。 人がワイワイ騒ぎながらゲームを している姿を見るのは楽しい。 世の中で起こっている事にたいして あれこれ意見を言い合っている人たちを見るのは楽しい。 はずなのだけど、 なぜか見終わった後に どっと疲れてしまうのである。 リフレッシュのために見ているつもりなのに、 もう何もやる気が起きない状態になるのだ。
今日、久しぶりに図書館へ行った。 本を沢山借りた。 仕事に関係する技術書から、 趣味のエッセイ本まで色々借りた。
読み進めている内に、 昔がむしゃらに文章を書き続けていた時の 創作意欲が湧いてきた。 間違いなくツイッターで読んだ文字数の方が、 今日本で読んだ文字数の数倍、 数十倍はあるはずだ。
だが、この数日間で書いた文章と言えば 「何かを見た」「何かを読んで面白かった」という数十文字の ツイートだけだった。 いま長文を書いているが、 こんなにちゃんとした文章を書く気力もなかった。
そういえば、先週に映画を見た時もそうだった。 正直に言うとその映画自体は自分の好みではなかった。 120分の映画だったが、 10回以上見るのを止めようかと思った。 それでも、10分ごとに自分の中に 色んな考えが浮かんだ。 自分ならこのシーンではこうセリフを言わせるだとか、 ここでユーモアを効かせると 緊張感が薄れるから私なら入れないなど 気に食わない映画だったが 沢山の言いたいことを抱えた状態で視聴を終えた。 不思議なことに、見終わった後はとても前向きになっていた。 部屋の模様替えをして、水場を綺麗にしてから寝た。
YouTubeで何時間も動画を見たが こんな風に感想を抱えたことはなかった。 直情的な楽しさや、表層的な知識を 与えてくれる内容はあっても、 その後で人に話したいという気持ちや それ以外でも何かしたいという気持ちが 湧くことはなかった。
不思議なことに、 同じようにメディアを見ることでも、 与えられる場合と吸い取られる場合があるらしい。 まだその両者について 明確に線引きは出来ていないが、 少なくとも与えるメディアに共通していることは お金と時間と才能がたっぷりと費やされていることだ。
これまで、アウトプットするにはインプットが必要で、 それは具体的には何でもいいと思っていた。 何かを見れば何か思うことがあり、 それが自分の頭の中の アイディアに繋がっていくと思っていたが 実際にはそうでないらしい。
もし自分が無気力な状態でいたら、 一旦いま自分がなにをインプットしているのか そして、それに自分が 吸い取られていないかを 見返す必要がありそうだ。